屋外で暴露した無処理・無塗装木材表面色の時系列分析


日本木材保存協会第38回年次大会

木材は,太陽光の照射などの環境要因により,変色することが知られている。建築物に木材を使用した場合,経年による建築物の外観の変化を知ることは重要である。既に,木材表面色の変化を予測し,木材の経年変化をビジュアルシミュレーションする手法がいくつか提案されている。森谷ら1)は,木材の屋外暴露試験により得られた実測データに対し,最小二乗法を用いて,木材表面色の変化の予測式を求めている。しかしながら,予測精度を向上させるためには,期間を区切って最小二乗法を適用する必要があり,煩雑である。ForthuberとGrull2)は,屋外での日照を模擬するために,木材をキセノンアークライトに暴露する実験を行っている。実測された木材表面色の変化を指数関数で近似している。両手法ともに,実測データから得られた木材表面色の変化の予測式を用いて,木材経年変化のビジュアルシミュレーションを行っている。 本研究では,木材表面色は時間の経過とともに徐々に変化する時系列データであることに着目し,時系列データ分析の手法を用いて木材表面色の変化を予測することを目的とする。ここでは,屋外暴露試験により得られた無処理・無塗装木材表面色の実測データを対象とする。提案手法により,複雑な木材表面色の変化であっても,期間を分けることなく統一的に予測を行うことができる。また,時系列データ分析手法を用いることにより,データが存在しない”未来”の木材表面色が予測可能となる利点もある。提案手法により予測した木材の表面色を用いて,画像処理による木材の経年変化のビジュアルシミュレーションを行ったので報告する。

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