3Dオートマトンを用いた鉄の腐蝕による形状変化シミュレーション
近年のCGの表現力の向上は目覚ましく,様々な材質でできた物体の表現が可能になっている.実空間に存在する多くの物体は,太陽光や雨風,砂などに長時間曝露されることにより,色や形が大きく変化する場合がある.こうした変化を経年変化という. 金属の経年変化の原因となる現象に腐蝕がある.腐蝕は鉄などの卑金属が水と接触することで生じる反応である.腐蝕が進んだ鉄は脆くなり,やがて一部が剥離する.これにより,鉄の表面に凹凸ができる.凹凸部分からさらに錆が進行し,鉄に穴が開くようになるまで錆が進行することがある.従来の錆のシミュレーション手法では,腐蝕による変色および凹凸の発生まで再現されていた.本研究では,鉄に穴が開くようになるまで進行した錆をも再現可能な,3次元物体の錆の進行シミュレーション手法を提案する.